皆さん、こんにちは。埼玉県熊谷市を拠点に、工場の電気工事・受変電設備工事・分電盤工事・配線工事などを手掛けている株式会社アルミックです。
「工場電気設備防爆指針とは何か」「自社の工場でも防爆仕様の電気設備が必要なのか」と疑問をお持ちではありませんか。
可燃性ガスや引火性液体の蒸気などが存在する場所では、電気設備から発生する火花や高温部分が着火源となり、火災や爆発につながる危険があります。
そのため、危険場所の種類と範囲を確認し、その環境に適した防爆性能を持つ機器や施工方法を選ばなければなりません。
この記事では、工場電気設備防爆指針の基本と、電気設備の新設・更新時に確認したいポイントを解説します。
■工場電気設備防爆指針とは

・工場の爆発事故を防ぐための技術指針
工場電気設備防爆指針は、可燃性ガスや引火性液体の蒸気などによる爆発の危険がある場所で、電気設備を安全に使用するための技術的な考え方をまとめたものです。
危険場所の分類、防爆構造の種類、機器の選定、設置、配線、保守などを検討する際の基礎になります。
・防爆指針そのものが法律というわけではない
工場電気設備防爆指針は技術指針であり、指針そのものが法律というわけではありません。
一方、労働安全衛生規則では、引火性物質の蒸気や可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれがある場所で電気機械器具を使用する場合、危険性に応じた防爆性能を持つ機器を使用することが定められています。
防爆指針は、法令に沿って危険場所や使用する電気設備を判断するための重要な技術的根拠として扱われています。
・構造規格と国際整合技術指針
国内の防爆電気機器には、電気機械器具防爆構造規格と、国際規格との整合を考慮した技術指針があります。
機器を選ぶ際は、防爆という表記だけで判断せず、国内で使用できる機器か、対象となるガスや危険場所に適合しているかを確認する必要があります。
■防爆対策が必要になる工場・作業場所

・可燃性ガスを使用する場所
可燃性ガスを製造、使用、貯蔵する場所では、漏れたガスが空気と混ざり、爆発性雰囲気を形成する可能性があります。
ガスを扱っているという理由だけで工場全体が危険場所になるとは限りませんが、放出源や換気状況をもとに危険場所の範囲を判断する必要があります。
・引火性液体や蒸気が発生する場所
塗料、溶剤、燃料などの引火性液体を扱う場所では、液体そのものだけでなく、発生した蒸気にも注意が必要です。
塗装工程、洗浄工程、混合工程、充填工程、保管場所などは、作業内容によって防爆対策が必要になる場合があります。
・可燃性粉じんが発生する場所
金属、樹脂、木材、食品原料などの細かな粉じんが空気中に浮遊すると、条件によっては粉じん爆発につながる可能性があります。
ガス・蒸気防爆と粉じん防爆では、危険場所や機器選定の考え方が異なるため、同じ基準で判断することはできません。
・換気が不十分な場所
ガスや蒸気の発生量が少なくても、換気が不十分な場所では危険な濃度まで滞留する可能性があります。
設備の周辺だけでなく、床面付近、くぼみ、ピット、天井付近など、物質の性質によって滞留しやすい場所が変わる点にも注意が必要です。
■防爆指針における危険場所の分類
・特別危険箇所・0種場所
爆発性雰囲気が通常の状態で連続して存在する、長時間存在する、または頻繁に存在する場所です。
危険性が高いため、電気設備の設置をできるだけ避け、設置が必要な場合は危険場所に適した防爆構造を選定します。
・第一類危険箇所・1種場所
通常の状態において、爆発性雰囲気が発生するおそれがある場所です。
通常の作業や設備の運転によってガスや蒸気が放出される可能性がある場所などが該当します。
・第二類危険箇所・2種場所
通常の状態では爆発性雰囲気が発生するおそれが少なく、発生した場合でも短時間しか続かない場所です。
設備の故障や配管からの漏えいなど、異常時に危険な雰囲気が生じる可能性がある場所が該当します。
・危険場所は自社判断で決めない
危険場所の分類には、扱う物質の特性、放出源、換気状況、設備の構造など複数の情報が必要です。
「ガスを扱うから工場全体を防爆にする」「換気扇があるから防爆は不要」といった単純な判断はできません。
安全、電気、機械などの関係者と、必要に応じて防爆に詳しい専門家が連携して判断することが重要です。
■防爆仕様が必要になる主な電気設備
・照明器具
危険場所に設置する照明器具は、対象となるガスや蒸気、危険場所の分類、周囲温度などに適した防爆仕様を選ぶ必要があります。
器具本体だけでなく、配線の引き込み部分や接続部分も防爆性能に関係します。
・スイッチ・コンセント
スイッチやコンセントは、操作時や抜き差しの際に火花が発生する可能性があります。
危険場所では、一般的なスイッチやコンセントをそのまま使用できない場合があります。
・モーター・ファン
モーターや換気ファンには、電気的な火花や表面温度が着火源になる可能性があります。
設置場所の危険性だけでなく、対象物質の発火温度や機器の温度等級なども確認が必要です。
・制御盤・分電盤
危険場所内へ制御盤や分電盤を設置する場合は、設置場所と機器の仕様を慎重に検討する必要があります。
可能であれば危険場所の外へ設置するなど、設備配置そのものを見直す方法もあります。
・配線・接続箱・ケーブル引き込み部分
防爆機器を設置しても、配線や接続部分の施工が適切でなければ、必要な防爆性能を確保できません。
ケーブルの種類、配管、接続箱、ケーブルグランドなどを含めて、設備全体で確認することが重要です。
「現在の照明や配線が防爆仕様か分からない」という段階でも、まずは対象となる場所や設備の情報を整理しましょう。
■防爆エリアの設備更新で起こりやすい問題
・一般仕様の機器へ交換してしまう
故障した機器を交換する際、外観や電圧だけを確認し、一般仕様の機器へ交換してしまうと、危険場所に必要な防爆性能を満たせない可能性があります。
既存機器の銘板や型式、検定情報を確認し、同じ使用条件に適合する機器を選ぶ必要があります。
・機器だけ防爆仕様にして配線を見落とす
防爆対応では、照明やモーターなどの機器本体だけでなく、配線の引き込み部分や接続方法も重要です。
部品の組み合わせや施工方法が適切でないと、機器本来の防爆性能を維持できない可能性があります。
・設備変更後に危険場所を見直していない
生産設備や配管、換気設備、間仕切りなどを変更すると、ガスや蒸気が滞留する範囲も変わる可能性があります。
以前作成した危険場所の区分図をそのまま使用せず、設備変更の内容に応じて見直しましょう。
・海外規格の表示だけで判断する
海外の防爆規格に対応した機器でも、そのまま日本国内で使用できるとは限りません。
国内の法令や検定に適合しているか、対象となる物質や危険場所で使用できるかを個別に確認する必要があります。
■防爆電気工事を相談する前に準備したい資料
次の情報があると、防爆対応の要否や工事範囲を確認しやすくなります。
- 使用・製造・保管している物質の名称
- 対象物質のSDS
- 工場内の配置図
- 危険場所の区分図
- 換気設備の位置と運転状況
- 既存機器の型式・銘板写真
- 既存の配線図・単線結線図
- 変更・増設する設備の仕様書
- 工事可能な日時と停電可能な時間
危険場所の区分図がない場合や、既存設備の資料が残っていない場合は、そのことも相談時に伝えましょう。
■防爆電気工事を進める基本的な流れ
・使用物質と作業内容を整理する
最初に、どの物質を、どこで、どのように使用しているかを整理します。通常運転時だけでなく、充填、洗浄、点検、故障時などに放出される可能性も確認します。
・危険場所の種類と範囲を確認する
物質の特性、放出源、換気状況などをもとに、危険場所の種類と範囲を確認します。
この判断は電気設備の選定に直接影響するため、専門的な知識を持つ関係者と進める必要があります。
・使用条件に合った機器を選定する
危険場所の分類だけでなく、対象となるガスや蒸気、温度等級、防爆構造、周囲環境などを確認して機器を選定します。
・配線方法と施工計画を決める
機器の設置位置、配線経路、接続方法、停電範囲などを決めます。
工場の稼働への影響を抑えるため、設備停止日や定期修繕の時期に合わせて工事を行う方法も検討します。
・施工後も点検と記録を続ける
防爆設備は、設置して終わりではありません。機器の破損、腐食、緩み、不適切な部品交換などによって、防爆性能が損なわれる可能性があります。
定期的に状態を確認し、機器の交換や設備変更を行ったときは図面や記録も更新しましょう。
■防爆が関わる工場の電気設備は事前確認が重要
株式会社アルミックでは、埼玉県熊谷市を拠点に、工場の受変電設備、分電盤、配線、照明、空調などの電気工事に対応しています。
防爆が関わる可能性のある場所では、通常の工場電気工事とは異なり、対象物質、危険場所の分類、使用する機器、配線方法などの確認が必要です。
お問い合わせの際は、対象となる物質や作業場所、変更したい設備などを分かる範囲でお伝えください。内容を確認したうえで、対応範囲や必要な確認事項を整理します。
まだ工事内容が決まっていない段階でも大丈夫です。まずは工場の電気設備に関するお困りごとをお気軽にご相談ください。

