工場の照度基準は?作業別の明るさの目安と照明を見直すポイント

工場の照度基準は、作業内容によって異なります。労働安全衛生規則第604条では、労働者を常時就業させる場所の作業面について、精密な作業は300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、粗な作業は70ルクス以上と定めています。


ただし、この最低基準を満たせば、どの作業でも見やすい環境になるわけではありません。JISに基づく作業別の推奨値も参考にしながら、実際に作業する面の明るさと、影やまぶしさの有無を確認することが必要です。




工場の照度基準は法令の最低基準とJISの推奨値を分けて考える

照度は、光源から出る光そのものではなく、照らされる面にどれだけ光が届いているかを表します。単位はルクスで、「lx」と表記します。天井の照明が明るく見えても、機械や人の影になる作業台では、必要な照度が得られていない場合があります。


まず押さえておきたいのが、労働安全衛生規則第604条の最低基準です。作業の区分ごとに、次の値が定められています。

  • 精密な作業:300lx以上
  • 普通の作業:150lx以上
  • 粗な作業:70lx以上


対象は、労働者を常時就業させる場所の作業面です。感光材料を扱う作業場や坑内など、特殊な作業を行う場所には例外規定があるため、通常の工場作業と一括りにはできません。


一方、JISの推奨値は、照明を計画するときに参照する作業別の目安です。法令の最低基準と数値の意味が異なるため、両者を同じ一覧に混ぜて判断しないようにしましょう。


工場に併設された事務所も別に確認します。事務所衛生基準規則では、一般的な事務作業は300lx以上、付随的な事務作業は150lx以上です。厚生労働省の案内にある事務所の基準を、そのまま製造現場の基準として当てはめないでください。




作業内容に合わせて必要な明るさの目安を確認する

作業場所の照明を検討するときは、何をどの程度細かく見分けるのかを整理します。同じ「検査」でも、小さな傷を探す作業と、大きな部品の有無を確認する作業では、照明に求める条件が違います。


岩崎電気の工場照明資料では、JIS Z 9110:2024とJIS Z 9125:2023を参考文献として、次のような推奨照度の例を示しています。以下は法令の最低基準ではありません。

  • 非常に精密な視作業:1,500lx
  • やや精密な視作業:750lx
  • 普通の視作業:500lx
  • 粗な視作業:200lx
  • ごく粗な視作業:100lx


資料では、見る対象の細かさ、色や背景との見分けやすさ、必要な精度、作業時間などによって分類を分けています。「組立だから必ず500lx」と機械的に決めるのではなく、作業の実態に合う区分を確認しましょう。倉庫についても、保管だけの場所と、継続して作業する場所を分けて考えます。


また、推奨値は照明を設置した直後だけ満たせばよいという考え方ではありません。使用中の明るさを維持することも含めて、器具の選定や保守を検討します。


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照度は実際に作業する面と条件をそろえて確認する

照度を確認するときは、照度計を使って実際に作業する面を調べます。工場の中央や通路だけを測っても、作業台の手元や機械の奥にある対象物の明るさまでは分かりません。机上面だけでなく、縦向きの計器や検査対象を見る場合は、その面にも目を向ける必要があります。


確認する場所は、図面や簡単な配置図に記録しておくと比較しやすくなります。数値だけを残すのではなく、どの作業のために、どこを、どの条件で測ったのかが分かるようにしましょう。

  • 作業場所と対象物:何を見ながら作業しているか
  • 測定する面:位置・高さ・向きはどこか
  • 測定日時と採光条件:時間帯や天候、窓からの光の入り方はどうか
  • 照明の点灯状態:通常の作業時と同じ器具が点灯しているか
  • 周囲の状態:機械・棚・作業者の位置によって影ができていないか


昼間に窓際で測った結果と、夜間に照明だけを使った結果では、条件が異なります。改善前後を比較する場合はできるだけ条件をそろえ、昼夜で見え方が違う場所は、実際に困っている時間帯の状態も確認してください。


Panasonicの工場照明の設計資料でも、作業対象面の向き・高さや作業時間帯、設備配置などを調査項目に挙げています。ここでの整理は現状把握のための準備です。規格に沿った正式な測定や評価が必要な場合は、採用する方法と条件を確認したうえで進めましょう。




数値を満たしていても影やまぶしさがあれば照明を見直す

「照度は足りているのに、細かい傷が見えない」という場合は、光の当たり方や反射も確認します。照明の台数を増やして全体を明るくしても、手元の影が残ったり、光沢のある製品への映り込みが強くなったりすることがあります。


例えば、体や機械が光を遮っているなら、器具の配置変更や必要な場所を照らす局部照明が検討対象になります。反射が原因で見づらい場合は、照明と対象物、作業者の視線の位置関係を見直します。こうした影やグレア、つまりまぶしさへの配慮は、Panasonicの設計資料でも説明されています。


なお、労働安全衛生規則第605条第1項は、著しい明暗の対照やまぶしさを生じさせない採光・照明の方法を求めています。照度の数値を満たしていることだけで、照明環境に問題がないとは判断できません。


設備を変更する前に、「暗い」「光が目に入る」「製品表面に反射する」など、見づらさの内容を具体化しましょう。困っている場所と原因の候補を整理すれば、全体照明の更新が必要なのか、局部照明や配置の調整を検討するのか、相談しやすくなります。


器具の更新を検討する場合は、工場のLED照明化のメリットと導入のポイントもご覧ください。電気代や交換の手間といった観点に加え、必要な見え方を確保できるかを併せて検討しましょう。




照明設備の点検と照度測定の違いを押さえる

「工場では半年に1回、必ず照度を測定しなければならないのか?」という疑問は、条文の対象を分けると整理できます。労働安全衛生規則第605条第2項が定めているのは、労働者を常時就業させる場所の照明設備について、6か月以内ごとに1回、定期に点検することです。


この規定は「照明設備の点検」であり、同じ頻度の「照度測定」と書かれているわけではありません。ただし、それを理由に照度の確認が不要になるわけでもありません。第604条の作業面の照度基準を満たすことと、設備の定期点検を行うことの両方を押さえる必要があります。


照明設備の点検と、作業面が必要な明るさを保っているかの確認を分けて整理しましょう。具体的な点検内容や照度測定の進め方は、設備や作業の状況、適用する規格、社内の管理基準などを踏まえて決めます。


照明は、点灯していても設置時の明るさがそのまま続くとは限りません。岩崎電気の資料では、光源の減光や器具に付着したほこり・汚れが照明の効率を下げることを説明しています。また、棚や機械の配置を変えれば、光が届く範囲も変わります。清掃・交換の状況とレイアウト変更を記録し、必要な明るさが保たれているかを見直しましょう。




工場の作業内容に合った照明設備を検討する

工場の照明を相談するときは、希望するルクス値だけでなく、どの作業で何が見づらいのかを伝えてください。作業場所の写真や配置図、照度の測定結果があれば、状況を共有する材料になります。測定結果がない場合も、困っている場所や時間帯を整理しておくと話を進めやすくなります。


既存の照明器具、天井の高さ、機械や棚の配置に加え、工事ができる曜日・時間帯も確認しておきましょう。器具の交換や配線変更には費用や作業場所の確保が必要になるため、工場の稼働条件も踏まえて工事範囲を検討します。


当社は埼玉県熊谷市を拠点に、埼玉県を中心として工場の照明設備工事などに対応しています。使用用途や環境に合わせた設備をご提案し、現地下見を行ったうえで見積もりを提示しています。


工場の照明についてお困りの場合は、作業内容や見えづらい場所、既存の照明について、分かる範囲の情報を添えてご相談ください。

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