用途別に解説!屋外コンセントの防水対策と後付け工事のポイント

お庭でのバーベキューで使う調理家電や、高圧洗浄機を使った洗車、外壁の掃除。あるいは、防犯カメラの設置や、これからますます増えるであろう電気自動車(EV)の充電。暮らしの中で、「家の外で電気が使えたら、もっと便利になるのに」と感じる場面はたくさんあります。


そんな時、室内のコンセントから長い延長コードを引っ張ってきて、一時的に対応している方も多いのではないでしょうか。しかし、この方法は、見た目が良くないだけでなく、コードにつまずいて転倒する危険や、急な雨による漏電・感電のリスクが常に伴います。


屋外に専用のコンセントを後付けすることで、これらの問題は一挙に解決できます。ただし、屋外のコンセントは、常に雨や風、強い日差しにさらされる過酷な環境に置かれるため、屋内のものとは全く異なる、特別な配慮が必要です。


この記事では、屋外コンセントの設置に不可欠な防水対策の重要性から、具体的な利用シーンに合わせた設置のポイント、そして後付け工事の流れまでを詳しく解説していきます。安全で便利な屋外の電源環境を実現するための第一歩としましょう。




なぜ防水対策が不可欠なのか?雨と電気が引き起こす危険

屋外で電気を使う上で、最も重要で、絶対に妥協してはならないのが「防水対策」です。電気と水は、言わずもがな最も相性の悪い組み合わせです。屋外コンセントの設置において防水処理を怠ることは、常に感電や火災のリスクを抱え込むことと同義なのです。



雨水が引き起こす漏電・ショート・感電

コンセントの内部に雨水や湿気が侵入すると、電気が本来の道筋から漏れ出す「漏電」が発生します。もし、濡れた手でそのコンセントや接続した機器に触れれば、重大な感電事故につながります。また、漏電によって回路がショート(短絡)し、火花が出て火災の原因になることもあります。特に、台風やゲリラ豪雨のように、横殴りの激しい雨が降る際には、わずかなすき間からも水が侵入しやすくなるため、危険性はさらに高まります。普段は問題ないように見えても、いざという時に深刻な事態を招くのが、防水対策が不十分な屋外コンセントの怖さです。



プロが使用する「防水コンセント」の仕組み

そのため、屋外には必ず「防水コンセント」と呼ばれる専用の製品を使用します。防水コンセントは、コンセントの差し込み口全体を覆うことができるカバーが付いているのが特徴です。使用していない時はカバーをしっかりと閉じておくことで、雨やホコリの侵入を物理的に防ぎます。さらに、プラグを差したままでもカバーが閉められるように設計されている製品もあり、雨天時でも比較的安全に電気を使用することが可能です。カバーの接合部には、水の侵入を確実に防ぐためのゴム製のパッキンが使われており、これが防水性能の要となります。



コンセント本体だけではない。壁との接合部の防水処理

防水対策は、コンセント本体だけではありません。屋外にコンセントを設置するということは、壁に穴を開けて屋内から配線を通すということです。この、壁とコンセントの取り付け部分の防水処理が非常に重要になります。専門業者は、この接合部分に、シリコン製の防水材(コーキング)をすき間なく充填し、水の侵入経路を完全に断ちます。この処理が不十分だと、壁の内部に雨水が浸透し、建物の柱や断熱材を腐らせたり、屋内での漏電を引き起こしたりする原因にもなります。プロの丁寧な仕事が求められる、見えないけれど重要な部分です。




何に使いますか?用途で考える、最適なコンセントの種類と設置場所

屋外コンセントを設置する際には、「何のために使いたいか」という目的を明確にすることが、満足度を高めるための第一歩です。用途によって、必要となるコンセントの種類や、使い勝手の良い設置場所が変わってくるからです。主な利用シーンを3つのタイプに分けて見ていきましょう。



タイプ①:高圧洗浄機や庭の手入れ、DIYで使いたい

洗車や外壁の掃除に使う高圧洗浄機、芝刈り機などの庭の手入れ用品、電動工具を使ったDIYなどで利用する場合は、一般的な100ボルトの防水コンセントで十分です。設置場所は、作業する範囲の中心あたりで、地面から少し高め(30cm以上)の位置がおすすめです。泥はねや水たまりの影響を受けにくく、コードの抜き差しもしやすくなります。また、アース付きのコンセントにしておくと、万が一の漏電時にも安心です。家の壁の複数箇所に設置しておくと、長い延長コードを引き回す必要がなくなり、さらに便利に使えるでしょう。



タイプ②:電気自動車(EV)の充電に使いたい

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の自宅充電には、専用のコンセントが必要です。一般的な100ボルトの防水コンセントでも充電は可能ですが、満充電までに非常に時間がかかります。そのため、その約半分の時間で充電できる、200ボルトの「EV充電用コンセント」を設置するのが一般的です。これは、普通充電ケーブルのプラグが重さで抜け落ちないように、ロック機構が付いているのが特徴です。設置場所は、当然ながら駐車スペースの近くになります。ご自身の車体の充電口の位置に合わせて、左右どちらの壁に設置するか、また、充電ケーブルの長さを考慮して、使いやすい高さを決めることが重要です。



タイプ③:防犯カメラやセンサーライトで常時使いたい

防犯カメラやイルミネーション、センサーライトなど、常に電気を供給し続ける機器のためにコンセントを設置する場合、より高い安全性が求められます。プラグを差したままカバーがしっかりと閉まり、南京錠などで鍵をかけることができるタイプの防水コンセントを選ぶと、第三者によるいたずらや盗電の防止にもなり安心です。また、こうした常時接続の機器は、一つの独立した回路として、タイマー機能付きのブレーカーや、漏電時にすぐに電気を遮断する漏電ブレーカー付きのコンセントを設置すると、より安全に、そして効率的に運用できます。




プロはこう設置する。安全を確保するための後付け工事のプロセス

屋外コンセントを後付けする工事は、屋内での作業とは異なる専門的な知識と技術が求められます。特に安全を確保するための手順は非常に重要です。専門業者が行う一般的な工事の流れを知ることで、どのような点がポイントになるのかを理解しておきましょう。



①屋内からの電源の確保と配線ルートの決定

まず、どこから電気を持ってくるかを決めます。多くの場合、設置したい場所から最も近い屋内にあるコンセントや、分電盤から配線を分岐させます。特に電気自動車の充電用など、消費電力の大きいものには分電盤から専用の回路を設けるのが基本です。次に、決定した電源から、屋外の設置場所まで、どのように電線を通すかというルートを検討します。壁の中や天井裏、床下などを利用して、できるだけ最短距離で、かつ安全なルートを探します。この段階で、建物の構造を正確に把握する専門的な知見が求められます。



②壁の穴あけと配線、そして最も重要な防水処理

配線ルートが決まったら、屋外へ電線を出すために壁に穴を開けます。この穴あけ作業は、建物の強度を損なわないよう、柱や筋交いを避けて慎重に行われます。穴には、電線を保護するための配管(スリーブ)を通し、屋内から屋外へと電線を引き出します。そして、ここからが最も重要な工程の一つです。開けた穴のすき間や、配管と壁との接合部分に、シリコン製の防水材(コーキング)を隙間なく、厚めに充填します。この防水処理の丁寧さが、将来の雨漏りや漏電を防ぐための生命線となります。



③屋外コンセントの取り付けと最終確認

屋外側の壁に防水コンセントの土台となるボックスを取り付け、引き出した電線をコンセント器具に正しく接続します。アース線がある場合は、これも確実に接続します。器具をボックスに固定し、防水カバーを取り付けた後、再度コンセントと壁の接合部分を防水材で丁寧に塞ぎ、水の侵入経路を完全に断ちます。最後に、屋内の分電盤でブレーカーを入れ、テスターという専門の測定器を使って、電気が正常に流れているか、電圧は正しいか、漏電はしていないかといった最終確認を入念に行い、すべての作業が完了となります。




工事にかかる費用と、信頼できる業者選びで失敗しないコツ

屋外コンセントの後付け工事を依頼するにあたり、やはり気になるのが費用です。また、安全に関わる重要な工事だからこそ、業者選びも慎重に行いたいものです。ここでは、費用の目安と、信頼できる業者を見極めるためのポイントを解説します。



後付け工事にかかる費用の目安

屋外コンセントの設置費用は、工事の内容によって大きく変動します。最もシンプルな、屋内コンセントから分岐させてすぐ外壁に設置するようなケースであれば、2万円〜4万円程度が一般的な相場です。ただし、これはあくまで目安です。分電盤から専用回路を引く場合や、電気自動車(EV)用の200Vコンセントを設置する場合は、配線が長くなったり、分電盤での作業が追加されたりするため、費用はさらに高くなります。また、壁がコンクリートであるなど、穴あけ作業の難易度が高い場合も追加費用がかかることがあります。正確な費用を知るためには、必ず複数の業者から見積もりを取り、その内容を比較検討することが重要です。



業者選びで確認すべき3つのポイント

屋外コンセントの設置で失敗しないためには、以下の3つのポイントを基準に業者を選びましょう。


一つ目は、「電気工事士」の資格はもちろんのこと、「屋外工事の実績」が豊富であることです。公式サイトの施工事例などで、どのような屋外工事を手がけてきたかを確認できると良いでしょう。二つ目は、見積もりの内容と説明が丁寧で分かりやすいことです。特に、防水処理の方法について具体的に説明してくれる業者は、安全への意識が高いと判断できます。そして三つ目は、万が一の不具合に備えた保証(アフターフォロー)がしっかりしていることです。長期的な安心のためにも、工事後の保証内容について事前に確認しておきましょう。これらのポイントを総合的に見て、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。


どのような業者が、どのような考えで日々の工事に取り組んでいるのか、その姿勢を知ることも、安心できる依頼先を見つけるための一助となるかもしれません。

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暮らしの可能性を広げる屋外コンセント。安全第一の計画を

屋外コンセントという一つの設備が、私たちの暮らしに新たな可能性と豊かさをもたらしてくれることを、お分かりいただけたかと思います。庭で過ごす時間がより楽しくなったり、これまで手間だった作業が手軽になったり、次世代のカーライフに対応できたりと、その恩恵は多岐にわたります。


しかし、そのすべての恩恵は、確実な「安全対策」という土台の上にあってこそ、初めて享受できるものです。特に、水と電気という危険な組み合わせを扱う屋外コンセントにおいては、専門的な知識に基づいた適切な施工が何よりも優先されます。安易なDIYや、知識の乏しい業者による工事は、便利さを手に入れるどころか、漏電や火災といった取り返しのつかない事態を招きかねません。


屋外コンセントの設置は、単に器具を取り付ける作業ではありません。ご自宅の電気設備全体のバランスや、建物の構造、そして何よりもご家族の安全を考慮した、総合的な計画が求められるのです。


もし、ご自宅の屋外での電気利用について具体的なプランを考え始めたら、まずは専門家に相談し、プロの視点からのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

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